ドーナッツロボティクス株式会社は、同社が開発する接客ロボット「cinnamon Guide(シナモン ガイド)」の導入が拡大していることを発表しました。「万引き抑制」の機能に注目が集まり、百貨店・薬局・スーパーマーケット・空港等での導入が進んでおり、販売代理店数が前年比10倍に急増しています。
ドーナッツロボティクスは、生成AIとロボティクスを融合させた次世代型ロボットの開発・提供を行うスタートアップ企業です。開発している移動型接客ロボット「cinnamon Guide」は、AIカメラと連携し万引きなどの不審行動を検知して音声で警告する機能、世界最高レベルの速度を誇る多言語翻訳(100か国語対応)、シナリオ設定による自動接客・対話型ナビゲーションを備えています。店舗内を移動し、商品の情報を画面で紹介・販売促進を行い、スマートフォンでのロボット呼び出しや目的地誘導も可能です。
警察庁の「令和5年版 犯罪統計資料」によると、2023年の万引き認知件数は93,168件で、前年比11.4%増と大幅に増加しました。過去数年で最も高く、依然として深刻な社会問題となっています。高齢化や社会的孤立、セルフレジ普及、訪日外国人の増加などが要因とされ、被害はドラッグストアやスーパーに集中しています。
現場では「人手不足による巡回の限界」や「死角の多さ」が課題となっており、固定カメラだけでは対応しきれない防犯ニーズが急速に高まっています。こうした中で、自律的に巡回し、異常行動を検知してその場で対応できるロボット型ソリューションが、「動く防犯カメラ」として期待を集めており、実証導入の動きが全国的に広がっています。

接客ロボットの導入は、2025年に入り、小売・商業施設を中心として拡大しています。ドーナッツロボティクスによる「cinnamon Guide」もその1つとして、複数の企業や店舗での採用や実証実験が進められています。特に注目されているのは、「ロボットによる不審行動の検知」と「即時の音声対応」といった機能が、従来の固定監視カメラとは異なる「動的な巡回補完」として活用されている点です。
2025年1月以降の導入実績として、TOYOTA、銀座三越、BYD、紀ノ国屋(青山店)、電通カフェ「エジェバル」などで導入や実証実験が行われています。一部の現場からは、「巡回による目の届きにくい場所のカバー」や「来店者との自然な対話による案内サポート」など、複合的な機能の組み合わせを評価する意見が寄せられました。
ドーナッツロボティクスでは、人型ロボット(ヒューマノイド)の開発も行っており、2026年からは接客ロボットcinnamon Guideとともにヒューマノイドでの接客・防犯を進めていく予定です。小売業界では人手不足と防犯対策の両立が喫緊の課題となる中、AIとロボティクスを活用したソリューションの需要は今後さらに拡大すると予想されます。