フラー株式会社は、同社が提供するアプリ市場分析サービス「App Ape(アップ・エイプ)」で蓄積するデータを基に、百貨店・ショッピングセンターアプリの動向や特徴をまとめた「百貨店・ショッピングセンターアプリ市場調査レポート2025」を公開しました。
調査は、国内約40万台のAndroid端末から収集したサンプルデータを基に実施されました。2025年4月時点でMAUが500以上のAndroidアプリを対象とし、Google Playカテゴリや企業分類、日本百貨店協会加盟企業などの条件に該当するものを「百貨店・ショッピングセンターアプリ」と定義して分析を行っています。
調査結果
レポートによると、2025年4月時点で百貨店・ショッピングセンターアプリは62個存在し、全アプリの約0.2%に相当します。月間平均利用個数は0.2個、月間平均利用時間は7.5分となっています。Google Playで評価★4.0以上を獲得しているアプリは11個でした。

利用者の特徴として、30代以上の女性の利用割合が高く、中でも50代および60代以上の女性で顕著な利用傾向が見られることが判明しました。一方、10代・20代の若年層や30代以上の男性は全体と比べて利用割合が低い結果となっています。

アプリの多様性については、「ショッピングセンター・モール」「百貨店」「共通ポイント」の3カテゴリに分類して分析を実施。イオンモール、三越伊勢丹、WESPOなど大手グループのアプリから、地域密着型の商業施設のアプリまで、多様なタイプのアプリが存在していることが確認されています。

地域別の動向では、東京、大阪、愛知など10都道府県を対象としたMAU上位アプリのランキングを作成。「JRE POINT」や「イオンモール」などが各地で高い順位を占める一方、福岡の「井筒屋」、沖縄の「アウトレットモールあしびなー」など、地域特有のアプリも上位にランクインしており、地域の商業環境が反映された結果となっています。

評価分布については、百貨店・ショッピングセンターアプリは評価が★3.0~3.5未満に集中しており、全体の30.6%となります。★4.0以上4.5未満の高評価を獲得したアプリは20.4%と、アプリ全体の平均(37.3%)よりも低く、中間評価帯にとどまる傾向が見られました。

本レポートは、百貨店・商業施設のデジタル戦略担当者をはじめ、アプリを通じた販促活動やCRM施策を検討・推進する事業者に向けて有用な情報を提供することを目指して公開されました。
小売業界では、デジタル化の進展とともにアプリを活用した顧客接点の強化が重要な課題となっています。利用者層に合わせた設計にすることで、顧客満足度の向上を図ることができるでしょう。
百貨店・ショッピングセンター業界におけるアプリ戦略の現状把握と今後の方向性検討において、本調査結果が市場データとして活用されることが期待されます。