株式会社シノプスは、西日本でドラッグストアを展開する企業が立ち上げた「四国青果物流通合理化協議会」へ参画し、実証実験を行った成果を発表しました。同協議会は農林水産省の補助事業に採択され、需要予測型自動発注の導入による青果物の発注業務効率化、食品ロス削減、物流負荷軽減を目指す実証実験を2024年10月から2025年1月まで実施しました。
本実験には、シノプスのほか、西日本に60店舗超のドラッグストアを展開する企業および青果物を卸す仲卸が参加。青果の食品ロス削減、業務効率化、物流負荷軽減を目的とした実証実験を行いました。日配品や惣菜などで実績のある需要予測型自動発注システム「sinops-R」に、青果用の需要予測ロジックを追加開発。これまで困難とされてきた青果の需要予測・自動発注を実現しました。
青果物は季節や気候により品質・価格が変動しやすく、明確な賞味期限が存在せず、見た目の変化や熟度といった個体差によって売れ行きが変わるため、過去の実績データだけでは正確な需要予測が極めて困難とされてきました。
青果の需要予測・自動発注で発注作業50%削減、食品ロス25%削減
実験は2店舗で実施され、対象としたのは玉ねぎやジャガイモなど青果15商品です。sinops-R導入により、販売実績は維持したまま、発注作業50%削減、食品ロス25%削減という成果を確認できました。
納品リードタイムの延長で作業を46%削減
実証実験では、従来2日だった納品リードタイムを4日に延長することで、青果の物流・業務負荷の軽減も検証しました。検証の結果、食品ロスや配送トラックの増便を出さず、仲卸で発生する作業計画作成、ピッキングや荷積みなどの作業を46%削減可能と試算されました。
総発注数の事前提示で作業を40%削減
1週間分の需要予測データを事前に仲卸に共有することで、仲卸の物流負荷軽減、作業の効率化効果も確認されました。食品ロスや配送トラックの増便を増やさず、仲卸で発生する作業計画作成、ピッキングや荷積みなどの作業を40%削減できると試算されています。
店舗納品時間の変更でトラック台数47%削減、業務負荷は増加
配送時間の調整では、開店前に行っていた青果の配送時間を正午まで延長することで、トラックの積載率が35ポイント上昇し、トラック台数を47%削減できると試算されました。一方で、ドラッグストア店舗側では納品・陳列作業に伴う業務負荷が43%増加するという課題も浮上しています。
四国青果物流通合理化協議会は、今後3年間で臨時配送トラックを30%削減、流通過程における所要時間を30%超削減、さらに仲卸・小売段階での食品ロスの30%削減を目標として、取り組みを継続していく方針です。
小売業界では慢性的な人手不足からベテランの発注担当者が減少しており、ドライバー不足も懸念される中、こうした需要予測技術の活用が業界全体の効率化に寄与することが期待されます。