株式会社シノプスは、伊藤忠商事株式会社と共同で開発・推進する食品バリューチェーン最適化プラットフォーム「DeCM-PF」における、小売業を起点とした発注コントロールによる「特売リードタイム長期化」の取り組みについて現在までの成果を発表しました。1年半にわたる取り組みの結果、食品バリューチェーン上の製造・物流・販売に携わる100社を超える企業が参画し、前年度比440%の大幅な増加となっています。
需要予測型の自動発注サービス「sinopsシリーズ」で長年の実績を持つシノプスのノウハウと、食品流通業の幅広いネットワークを持つ伊藤忠商事は、それぞれの強みを活かし、食品流通の課題解決を目指す「DeCM-PF」を開発・提供開始しました。
開発の背景にあるのは、食品分野における物流現場が晒されている厳しい状況です。現在は、人口減少に伴うトラックドライバー不足が深刻化している中で、EC市場の成長と消費者ニーズの多様化による需要急増が重なっています。また、いわゆる「2024年問題」として知られる働き方改革関連法の施行で、従来の輸送体制維持への危機感がさらに強まりました。
DeCM-PFの第一弾としてリリースされた「特売LT長期化サービス」は、食品スーパーマーケットの特売商品における納品リードタイムを延長するサービスです。従来、小売業は特売開始の1週間前に発注を行う一方、特売期間中の追加発注は納品希望日の1~2日前に行われることが多く、メーカー・卸売業にとって特売期間中の需要予測は困難でした。その結果、余分な在庫の確保、緊急のトラック手配、積載効率の低い配送といった非効率が発生していました。
これらの課題を解決するため、「特売LT長期化サービス」では、各特売の特徴や店舗ごとのチラシ、陳列方法を考慮した需要予測技術を活用し、小売業に対し、初回発注と同時に特売開始後1週間分の追加発注を特売開始2週間前に提案・確定します。本取り組みの結果、特売期間中の追加発注を抑制し、メーカーや卸売業における欠品対応や過剰在庫の削減が実現できました。

本取り組みへの参画企業各社からは、「トラックの緊急手配の心配がなくなった」「物流センターの在庫が減った」「年末の繁忙期にセンター在庫上限を越えることが無くなった」「欠品が減った」「余剰在庫の削減や欠品防止による機会損失の削減が期待できる」といった声が寄せられています。
今後、DeCM-PFは、特売LT長期化サービスに加え、特売と定番をあわせた卸売業への発注支援や、食品メーカーの物流最適化、店舗オペレーションと物流センター在庫の適正化両立など、サービスラインナップの拡充を行う予定です。シノプスは、食品バリューチェーン全体の受給最適化を実現し、業界が直面している物流課題の解決に貢献していくとしています。