Telexistence株式会社と米国企業Physical Intelligenceは、コンビニエンスストアなどの小売店舗における商品補充業務で、汎用ロボット基盤モデルを活用した高次元な自動化技術の開発を目的としたパートナーシップを締結し、本取り組みに着手したことを発表しました。
Telexistenceは東京大学名誉教授の舘暲氏らによって創業され、ロボット開発を手掛ける企業です。これまで、自社ロボット「GHOST」によってコンビニエンスストアでの飲料補充業務を大部分を自動化してきました。
しかし、商品棚内で横転した飲料の立て直しなど、事前に予測不可能で実質的に発生パターンが無限にある事象については、人間のオペレーターによるロボットの遠隔操作で補完していました。
今回の提携では、Telexistenceが保有する膨大な「身体性」を備えた経験知と遠隔操作データを、Physical Intelligenceの最先端汎用ロボット基盤モデルと組み合わせることで、これまで人間が操作しないと解決できなかったロボット制御の自律化を目指します。
Telexistenceは小売店舗で稼働するロボットおよびその遠隔操作データを提供し、同社のロボティクス技術を活用してPhysical Intelligenceの汎用ロボット基盤モデルを実機に実装する役割を担います。
一方、Physical Intelligenceは実環境から生成されたデータに基づき、同社のVision Language Action(VLA)モデルを学習することにより、アノマリー事象からの自律的な復帰をするためのポリシー開発を担当します。
Telexistenceは2023年7月にシリーズBラウンドで約230億円の資金調達を完了し、ソフトバンクグループやFoxconn、Globis Capital Partnersなどからの出資を受けました。一方、Physical Intelligenceは2024年11月に4億ドルの資金調達を実施し、ジェフ・ベゾスやOpenAIなどの著名な投資家からの支援を受けており、両社は事業拡大に注力しています。
今後も、両社はオペレーターの新たな操作データをVLAモデルに継続的にフィードバックする学習ループを構築することで、最終的には人間並みの身体知を備えたロボットが様々な産業領域で身体性を伴う労働を瞬時に判断し、自律的に遂行するプラットフォームの創出を目指しています。
小売業界では人手不足が深刻化する中、こうした先進的なロボット技術の実用化が、業界全体の労働環境改善に寄与することが期待されます。