KDDI株式会社と株式会社ローソンは2025年7月、「TAKANAWA GATEWAY CITY」内KDDI本社の社員専用フロアに「ローソン S KDDI高輪本社店」を開店し、オフィス環境に特化した「Real×Tech LAWSON」の実験店舗として運営を開始したと発表しました。
この新店舗では、利用者がKDDI社員に限られる環境を活かし、オフィスで働く人の生産性向上などに寄与する利便性や体験価値を提供するコンビニエンスストアの実現に取り組んでいます。店舗内にレジが存在しない実証店舗で、店舗と連携した専用アプリ「オフィスローソンアプリ」を中心に、オフィスワーカーのデータを活用しながら、一人ひとりのニーズに最適化したスマホセントリックな購買体験を提供します。
「オフィスローソンアプリ」には、レジに並ぶことなく決済が完了するスマホレジを導入。同時にアプリ上で一人ひとりの購買履歴などをもとにパーソナライズされた商品のレコメンドなども行います。また、配送ロボットがエレベーターなどのファシリティと連携し、ローソン店舗の商品をオフィスの執務室内までデリバリーしたり、オフィス内を回遊販売したりすることで、フロアを移動することなく商品の購入が可能です。
2025年8月からは商品の在庫数に応じてリアルタイムで値下げを行うダイナミックプライシングの導入を予定。期限が近付いた食品の割引情報をアプリでも配信し、フードロスを防ぎます。さらに、10月からは空きスペースを有効活用した特設店舗にて、お弁当や日用品の無人販売も実施する予定です。
KDDI社員1万人へのアンケートにより、9割がコンビニを活用する一方で、特定時間の混雑とレジ待ちが課題となっていることが判明しました。また、節約や健康への配慮、気分転換など、コンビニに対する個別のニーズが存在していることも明らかになっています。本店舗の利便性や体験価値が高まることにより、オフィスワーカーの生産性やオフィス勤務に対する満足度、モチベーションの向上が期待できます。
KDDIとローソンは、本店舗での取り組みを通して、オフィス環境に特化したコンビニエンスストアの構築を目指します。今後、利用するKDDI社員の声をもとに使いやすさや利便性を追求し、実験店舗として最先端の技術を積極的に取り入れて検証しながら、他企業のオフィスなどへの展開も目指していきます。
小売業界では、デジタル技術を活用した店舗運営の効率化や顧客体験の向上が重要な課題となっています。今回の取り組みはオフィス環境に最適化された新たなスタイルを検証するもので、技術革新を牽引する事例として注目されそうです。