イオンが脱フロン加速、2040年度末までに自然冷媒100%転換の目標を設定

・2040年度末までに日本国内全店舗の冷凍・冷蔵機器を自然冷媒へ転換する新目標を設定
・現在約5,300台の自然冷媒機器を展開済みだが、多くの店舗でフロン冷媒が使用されている現状
・脱炭素ビジョン実現に向けた重要ステップとして、老朽機器優先で段階的転換を実施

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イオンが脱フロン加速、2040年度末までに自然冷媒100%転換の目標を設定

イオン株式会社は、グループの環境戦略における新たな方針として、2040年度末までに日本国内のグループ全店舗における冷凍・冷蔵機器の自然冷媒(ノンフロン)化を完了する目標を設定したと発表しました。

同社は2009年に日本小売業で初めて、地球温暖化係数の小さい自然冷媒の冷蔵・冷凍機器を導入。フロン類の漏洩防止については、2011年に「自然冷媒宣言」を発表していました。以降、CO2や炭化水素を用いた自然冷媒機器の導入を段階的に進め、2025年2月末時点で約5,300台を展開しています。

イオンは2018年に策定した「脱炭素ビジョン」に基づき、温室効果ガス排出の削減と持続可能な店舗運営の実現に向けて、冷凍・冷蔵機器の自然冷媒化を段階的に進めています。

しかし、多くの店舗では現在もフロン冷媒が使用されています。気候変動対応・老朽設備対策、そして企業の社会的責任の観点からも、脱フロン転換は急務となっており、同社はノンフロン転換を脱炭素ビジョン実現に向けた重要なステップと位置づけ、明確な行動目標を新たに設定しました。

今回設定された目標の意義は多面的です。環境的意義としては、地球温暖化係数の高いフロン類からの計画的転換による温室効果ガス削減があります。経済的意義では、老朽機器の更新による保守費削減と補助金活用による導入促進が期待されます。対外的意義としては、2040年ネットゼロ達成に向けた重要施策として、ステークホルダーに向けた説明力を強化する効果があります。

今後は、老朽機器を優先に、店舗活性化や改装タイミングに合わせて順次切り替えを実施していく方針です。進捗目標として、2025年度に全体の約4%、2030年度に約30%、2040年度に100%の転換を目指しています。

環境対応は企業にとって競争力の源泉となりつつあり、特に大手チェーンでは脱炭素への取り組みが、投資家や消費者からの評価と直結していています。イオンの具体的な目標設定は、業界全体の環境対応加速に影響を与えそうです。

《Commerce Innovation編集部》

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