J.フロントリテイリング株式会社(JFR)は、同社が運営する大丸東京店に無人店舗を導入し、2025年2月6日から実証実験を開始すると発表しました。この取り組みは、Cloudpick JapanとJFR、三菱HCキャピタルの3社協業によるものです。
無人店舗は、大丸東京店内の「2025大阪・関西万博オフィシャルストア」に設置されます。期間は2025年2月6日から同年10月頃までを予定しています。実証実験では、AIカメラやIoTなどの最新技術を活用したウォークスルー決済システムを導入。これにより、店舗の省人化と顧客の利便性向上を同時に実現することを目指しています。
入店認証システムはアプリによる事前登録を必要とせず、クレジットカードタッチ(Apple PayやGoogle Payを含む)方式を採用。訪日外国人を含む幅広い顧客層に向けて、より高い利便性を提供することが可能となりました。カメラと重量センサーを連携しており、商品を持って店外に出た時点で、入店時にタップしたクレジットカードからの決済が完了します。
JFRの執行役 経営戦略統括部事業企画部長森田幸介氏は、「従来の店舗ビジネスに捉われず、お客様に新しいお買い物体験や利便性をご提供するため、今回PoCを通しての検証や、今後もスタートアップ企業様との共創によるお客様への新たな価値提供をしてまいりたい」とコメントしています。
Cloudpick Japan社長の秦昊氏は、「百貨店×クレジットカードタッチ×レジレスウォークスルー決済は、弊社のグローバル展開において初めての試み」と明かし、新たな店舗モデルの創出に意欲を示しました。
三菱HCキャピタルの澤田真常務執行役員は、「人手不足に課題を抱える小売業界のニーズに応える効率的で利便性の高いサービスの構築をめざしてまいります」と語り、今後の小売業界の課題解決に向けた取り組みを強調しました。
Cloudpickの実証実験は、百貨店業界では初めての試みです。労働力不足が深刻な社会問題となる中、店舗の省人化と顧客体験価値の向上を同時に追求する必要性が高まっています。JFRグループは、今回の取り組みを通じて、顧客体験や利便性を検証し、今後の実施可能性を模索していきます。
今回の実証実験の結果次第では、JFRグループ各社の店舗や他の小売事業者への無人店舗サブスクリプションモデルの提供可能性も検討しているとのことです。
百貨店業界は、これまで対面サービスを重視してきましたが、本取り組みにより、テクノロジーを活用した新たな顧客接点の創出が見込まれています。無人店舗技術の進化と普及により、業界全体の構造変革が加速する可能性がありそうです。