EC分析サービス「Nint ECommerce」を提供する株式会社Nintは、EC事業担当者を対象に生成AIの業務利用実態と課題に関するアンケート調査を実施しました。調査期間は2025年12月10日から16日で、有効回答数は61件です。
調査の結果、生成AIを「よく利用している」「毎日数回以上利用している」と回答したEC事業者は約9割に上り、生成AIがすでにEC業務の日常的なツールとして定着していることが明らかになりました。
利用用途は多岐にわたり、「情報収集・市場調査」「レポート・資料作成」「アイデア出し・企画」「メールの作成・添削」「商品説明文・商品ページ作成」など、企画から運用まで幅広い業務で活用されている実態が浮き彫りになりました。
一方で、生成AIの回答精度については、「判断材料の一つとして使えれば十分」「アイデア・仮説づくりのヒントになればよい」と回答した人が多数を占め、「そのまま意思決定に使えるレベル」と考えている人は少数派でした。
生成AIを業務で使う中で感じる不安・課題としては、「実態とズレることがある」(約7割)、「数値や市場規模の精度が不安」(約5割)、「根拠が曖昧・出典が不明」「最新性に不安がある」「再現性がない(プロンプトによって結果が変わる)」「社内・顧客に説明しづらい」といった回答が多く、「便利だが、責任ある判断を任せるには不安が残る」という現場の本音が浮かび上がりました。
注目すべきは、生成AIにNint ECommerceのデータを読み込ませて活用した経験がある回答者からの評価です。約5割が「回答精度が向上した」と回答しており、実務での活用可能性に関する評価が寄せられました。
さらに、Nintの新機能であるAI用PDF生成機能による商品企画向け出力結果については、約9割が「有益だと思う」「非常に有益だと思う」と評価しています。
自由記述では、「AI単体だと、やはりデータの出典元が不安定です。Nint ECommerceのデータがないと困ります」(メーカー・マーケティング)、「Nintのデータを基にAIに読み込んで、今後どんなことができるのか試していきたいです」(小売・EC責任者)といった声も寄せられ、AIに「現場で使える確かさ」を与える要素として、一次データの重要性が示唆されました。
本調査を通じて、生成AIはEC業務の効率化や情報収集の手段として広く浸透している一方で、実務で意思決定に用いる際には「根拠の明確さ」や「数値の確からしさ」が重視されている実態が明らかになりました。
生成AIは、Web上の公開情報やテキスト情報をもとに市場動向やトレンドを俯瞰することに長けていますが、EC実務において重要となる「どの商品が」「どの価格帯で」「どの程度売れているのか」といった判断材料を得るには、参照できるデータの性質が重要になります。






