富士通株式会社は、ヤマトホールディングス株式会社(以下、ヤマトHD)傘下のSustainable Shared Transport株式会社(以下、SST)が、荷主企業・物流事業者向けの共同輸配送システムを2025年2月1日から稼働開始すると発表しました。SSTは、ヤマトHDオープンプラットフォームを活用した共同輸配送サービス「SST便」の提供を同日よりスタートします。
本取り組みは、輸送力不足や気候変動への対応など、様々な社会課題に直面している物流業界の課題解決を目指すものです。2025年4月以降は「物資の流通の効率化に関する法律」に基づき、荷主企業・物流事業者に物流効率化のための措置に対して努力義務が課せられ、各社は法改正への対応の必要性に迫られています。
新システムでは、富士通のオファリング「Fujitsu Unified Logistics」によるデータ基盤を用いて、荷主企業の出荷計画や荷姿、荷物量などの情報と、物流事業者の運行計画をもとに、最適な輸配送計画を作成。これにより、荷主企業は共同輸配送パートナーを自ら探さなくても最適な方法を把握し、効率的な輸送を実現できます。
また、本プラットフォームは内閣府のプロジェクトにより策定された「物流情報標準ガイドライン」に準拠して設計されているため、業種・企業間で定義の異なるデータの連携が容易です。富士通のブロックチェーン技術とサイバーセキュリティの知見により、安全にデータを連携しています。

SSTは、宮城県から福岡県間において1日16便の運行で、標準パレットスペース単位で利用できる「定時運行」「中継輸送」「混載」による幹線輸送を提供します。各地域の物流事業者との連携により、利用荷主企業の要望に応じた「域内配送」も提供可能です。

SSTは、トラック輸送での対象地域やダイヤの拡充のほかに、鉄道や船舶なども含めたマルチモーダル対応を進めていき、2026年3月末に80線便まで路線を拡張する予定です。
富士通とSSTは、本取り組みにより業界の垣根を越えた持続可能なサプライチェーンの実現を目指すとしています。商流情報と物流情報を連携するデジタル基盤を構築するとともに、関連機関・団体のサービス・プラットフォームとのデータ連携を推進することで、サプライチェーン全体の最適化・強靭化にも貢献していく方針です。
両社は、ヤマトグループの約170万社の法人顧客と3,500社以上の物流事業者との提携、輸配送ネットワークやオペレーション構築に関する知見と、富士通の持つ製造・流通分野の業務知見やシステム構築のノウハウを掛け合わせ、今後も業種や業界を横断した課題解決に取り組む考えです。新たな共同輸配送プラットフォームの提供により、物流業界の効率化と持続可能性の向上が期待されます。