2024年のホリデーシーズン、モバイルショッピングが過去最高を記録…アドビ調査

・オンライン売上高が前年比8.7%増の2,414億ドルを記録
・スマートフォン経由の購入が54.5%を占め、過去最高を更新
・生成AI搭載チャットボットの利用が1,300%増加し、消費者に受け入れられる

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2024年のホリデーシーズン、モバイルショッピングが過去最高を記録…アドビ調査

アドビは、2024年11月1日から12月31日にかけてのホリデーシーズンについて、オンラインショッピングのデータを公開しました。期間中のオンライン売上高は前年同期比8.7%増の2,414億ドル(約37兆7000万円)に達し、Eコマースの新記録を更新しました。

今シーズンの特筆すべき点は、モバイルショッピングの急成長です。オンライン購入の54.5%がスマートフォン経由であり、過去最高を記録しました。特にクリスマス当日には、オンライン販売の65%をモバイルが占めています。

また、生成AIを搭載したチャットボットの利用が大幅に増加しました。チャットボット経由の小売サイトへのトラフィックは前年比1,300%増加し、特にサイバーマンデーでは1,950%と急増しました。アドビの調査によると、ショッピングに生成AIを使用した回答者の70%が、体験が向上したと答えています。

消費者の予算管理の柔軟性を示す指標として、後払い決済(BNPL)の利用も過去最高を記録しました。BNPL経由のオンライン売上高は182億ドル(約2兆8000万円)に達し、前年同期比9.6%増となりました。BNPLを利用する消費者の79.1%がスマートフォンを選んでいます。

Adobe Digital Insights担当の主席アナリストであるヴィヴェク パンドゥヤ氏は、「2024年のホリデーシーズンでは、小さな画面でのショッピングを好むようになった消費者が、生成AI搭載のサービスを利用してより効率的な買い物をするというかたちでEコマースを変容させつつあることが示されました」と述べています。

今シーズンは大幅な値引きも実施され、多くの消費者を惹きつけました。電子機器カテゴリーでは最大30.1%オフ、アパレルでは23.2%オフなど、各カテゴリーで大きな値引きが行われました。この値引き競争により、消費者は高額商品の購入を促され、電子機器、家電製品、スポーツ用品などで最高価格帯の販売シェアが21%へと上昇しました。

インフルエンサーマーケティングの影響力も顕著でした。アフィリエイト/パートナー経由(SNSインフルエンサーを含む)の収益シェアは17.6%で、前年比6%増と顕著な成長が見られました。アドビの調査では、Z世代の回答者の37%がインフルエンサーの推奨に基づいて何かを購入した経験があると回答しています。

一方で、オンライン消費の好調は商品価格の上昇ではなく、新規の需要増加がもたらしたものです。アドビデジタル物価指数によると、Eコマース価格は27か月連続で下落しており、2024年11月は前年同月比2.6%減となっています。

2024年のホリデーシーズンは、モバイルショッピングの急成長、生成AIの活用、後払い決済の増加、インフルエンサーマーケティングの影響力拡大など、Eコマース市場の新たな傾向を明確に示す結果となりました。小売業者にとっては、これらの変化に対応しつつ、消費者のニーズに合わせた新しいサービスや体験を提供することが今後の課題となりそうです。

《Commerce Innovation編集部》

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