食品値上げ継続、2025年8月は前年同月比1.5倍に 10月はラッシュとなる見込み

・2025年8月の飲食料品値上げは1010品目で、前年同月から349品目・52.8%増加
・調味料分野が470品目で最多、乳製品281品目が続く
・10月は3千品目超の値上げが予測され、年間2万品目台到達が確実視

市場 マーケット
食品値上げ継続、2025年8月は前年同月比1.5倍に 10月はラッシュとなる見込み
  • 食品値上げ継続、2025年8月は前年同月比1.5倍に 10月はラッシュとなる見込み
  • 食品値上げ継続、2025年8月は前年同月比1.5倍に 10月はラッシュとなる見込み
  • 食品値上げ継続、2025年8月は前年同月比1.5倍に 10月はラッシュとなる見込み

株式会社帝国データバンクは、2025年8月以降における食品の値上げ動向および今後の見通しについての分析結果を発表しました。

食品メーカー195社における8月の飲食料品値上げは1010品目となり、1回あたりの値上げ率平均は11%でした。前年8月の661品目から349品目・52.8%の大幅な増加となり、単月の値上げ品目数として3ヶ月連続で1千品目以上を記録しています。8ヶ月連続で前年同月を上回り、連続増加期間として2022年の統計開始以降で最長を更新しました。

食品分野別では、だし製品のほか、ポン酢やたれ製品を中心とした「調味料」が470品目で最多となりました。「乳製品」は281品目で、加工向け生乳取引価格の引き上げによる影響を受けて、牛乳やチーズ、ヨーグルト製品など多品目で一斉値上げとなり、2025年内では3月以来の高水準となっています。「加工食品」は109品目で、冷凍食品のほか、包装餅などで値上げとなるものの、単月としては2025年内で1月に次ぐ少ない水準でした。

2025年通年の値上げは、11月までの公表分で累計1万9416品目にのぼり、前年通年の実績1万2520品目を55.1%上回りました。1回当たり平均値上げ率は15%と、前年の17%をやや下回る水準が続いています。食品分野別では「調味料」が6140品目で最も多く、前年から4425品目・258.0%と大幅に増加したほか、年間では2022年以降で2番目に多い水準となりました。

値上げ要因では、原材料の価格高騰に加え、光熱費の上昇による生産コスト増、人手不足による労務費の上昇、物流費の上昇などが複合的に重なりました。原材料などモノ由来の値上げが全体の97.2%を占めたほか、「エネルギー」66.5%、「包装・資材」59.4%、「物流費」80.0%、「人件費」53.9%など、主要な値上げ要因ではいずれも半数を超えています。

2025年の値上げは、原材料高に加えて物流費やエネルギーコスト、賃上げによる労務費など、物価上昇圧力を受けた値上げの勢いが強まっています。輸入物価高に起因した2023年から2024年前半のラッシュ時と比べ、2025年の値上げ要因は内生的なモノ・サービス物価上昇による影響力が相対的に増大しており、比較的低位に抑制された2024年から値上げ品目数が大幅に増加する要因となっています。

今後の動きとして、10月の食品値上げ予定品目数が2025年4月以来となる3千品目超えとなる見込みで、値上げラッシュとなる見通しです。帝国データバンクは通年の値上げ品目が2023年以来2年ぶりに年間2万品目台への到達するのを確実視しており、今後の動向次第では飲食料品の値上げラッシュが本格化した2022年の水準に並ぶ可能性があると分析しています。

小売業界においては、継続的なコスト増を見越した価格戦略の見直しが求められる状況が続くと予想されます。

《Commerce Innovation編集部》

関連タグ

特集