株式会社帝国データバンクは、主要な食品メーカー195社を対象として、2025年6月以降の食品価格の動向や今後の見通しについて分析した結果を公開しました。
2025年6月の飲食料品の値上げは1932品目にのぼり、1回あたりの平均値上げ率は14%でした。前年同月の623品目と比べると、1309品目増加し、約3倍の210.1%の急増となっています。単月の値上げ品目数は、2ヶ月ぶりに1千品目を超えました。また、1月以降6ヶ月連続で前年同月を上回っており、記録的な値上げラッシュとなった2023年6月以来、2年ぶりの長期にわたる値上げの継続となっています。
食品分野別にみると、最も多かったのはカレールウや香辛料、だし製品など「調味料」で、962品目にのぼりました。「加工食品」は755品目で、即席めんのほか、不作により供給量が大幅に減少した海藻製品やコメ高騰の影響を受けたパックごはんの値上げが目立っています。加工乳やヨーグルトなどの発酵乳、クリーム製品など「乳製品」106品目は、乳価改定の影響を受けたものでした。
2025年通年の値上げ品目数は、10月までの公表分で累計1万6224品目に達し、前年の1万2520品目を約3割上回りました。食品分野別では、「調味料」5446品目が最多で、「加工食品」3813品目が続きました。「酒類・飲料」3485品目については、清涼飲料水の値上げに加え、原料米の価格上昇による清酒製品の値上げが実施され、2年ぶりに3000品目を超えています。

値上げの要因は、原材料の価格高騰、光熱費の上昇による生産コストの増加、人手不足に伴う労務費の上昇、物流費の高騰などが複合的に影響しました。「原材料高」が全体の98.0%を占め、前月調査時の97.9%よりもさらに拡大しています。また、人手不足による昇給や賃上げに伴うコスト増を背景とした「人件費」53.6%は、要因別の集計を開始した2023年以降で最高の水準となっています。

消費者の間では、買い控えが強まり、値上げ疲れが顕著になっています。今後さらなる値上げが行われると、消費者の節約志向が強まるリスクが考えられます。2025年は原材料費の上昇に加えて物流費やエネルギーコストの増加、労務費の上昇が続くことで、飲食料品の価格上昇圧力が強まっており、値上げの機運に影響を与えています。
帝国データバンクは、2025年の年間値上げ品目数が2万品目を超える可能性が高いと予想しています。さらに、今後の動向次第では、飲食料品の値上げラッシュが本格化した2022年の2万5768品目に迫る可能性もあるとしています。小売業界では、値上げに対応する価格戦略と、消費者の節約志向に応える品揃えを両立させることが求められています。