帝国データバンクは食品メーカー195社の値上げについて、2024年通年および2025年の動向を分析した結果を公開しました。2025年1月から4月までに値上げが決定している飲食料品は6121品目に上り、2024年を上回るペースになることが判明しています。
2024年は累計1万2520品目の値上げ
2024年は累計1万2520品目の値上げとなり、記録的な値上げラッシュとなった2023年の3万2396品目に比べると、約6割減っていました。

月別では、2024年2月にパスタソースやトマトジュースなど1626品目が値上げされ、4月にはハム・ソーセージなど加工食品2897品目が値上げされました。10月には酒類・飲料を中心に2924品目が値上げされ、11月には2023年同月を上回る値上げが発生しています。


2025年の値上げ見通し
2025年に入ってからの4月までの値上げは6121品目で、値上げ率の平均は18%です。加工食品や菓子類、酒類・飲料を中心に、20%を超える大幅な価格引き上げを行う食品が多いことも、値上げ率が高止まりした要因となっています。2024年と比べて、これは6割増しのペースです。
2025年1から4月の値上げ品目数を分野別にみると、「加工食品」が2121品目で最も多く、全体の約3割を占めています。次いで「酒類・飲料」が1834品目、「パン」が1227品目となっています。
特にビール類では、2025年4月に大手4社で価格が引き上げられ、2023年10月以来1年6ヶ月ぶりの値上げラッシュとなる見込みです。パンについても、2025年1月に1000品目超が価格引き上げの対象となり、同じく1年6ヶ月ぶりの値上げラッシュとなります。

値上げの主な要因としては、原材料高騰が最も多く93.2%を占めています。また、物流費由来の値上げが78.4%、人件費由来の値上げが43.9%と、いずれも2023年以降で最高値となりました。
円安傾向で推移する為替相場を背景に、輸入食材などを中心に値上がり圧力が高まっています。また、天候不順によりコーヒー豆やカカオ豆といった一部商品作物では値上がりに収束のめどが立たず、コーヒー製品やチョコレート菓子などで年内に複数回の値上げが実施されるケースも発生しています。
原材料のほか、プラ容器など包装資材を含めたモノ由来の値上げに加え、物流費や人件費などサービス由来のコストでも値上がりが続いています。企業努力による製品価格引き下げや据え置きによる販売量の維持は収益面で限界に達しつつあり、コスト高を背景に値上げマインドは高まりつつあります。

2025年通年の値上げ品目数については、現状のペースが続いた場合、2024年を上回る年間1.5万から2万品目前後に到達する可能性があります。特に、値上げタイミングが集中しやすい2月から4月にかけて月当たり2000品目を超える値上げが見込まれ、今後の展開次第では月3000品目に達する大規模な値上げラッシュの発生も想定されます。

消費者にとっては、食品価格の上昇が家計に与える影響が懸念されます。企業側も原材料費や人件費の上昇を吸収しきれず、値上げを余儀なくされる状況が続いています。新年も値上げの動きが続く可能性が高く、消費者の購買行動や企業の価格戦略には引き続き注目が集まりそうです。