SEO分析ツールを提供するAhrefs Pte. Ltd.は、日本市場におけるAI検索システムの引用傾向に関する調査結果を発表しました。
同社のブランドレーダー機能を活用した今回の調査では、AI OverviewsとAIモードの引用ドメイン上位1000件を分析し、両システムの引用ロジックに「中程度の正の相関(相関係数r=0.65)」があることが明らかになりました。
共通基盤と独自戦略の併存
調査結果によると、両システムで共通して引用されるドメインは712件(55.3%)で、AI Overviews独自が288件(22.4%)、AIモード独自が288件(22.4%)となっています。総引用回数はAI Overviewsが約597万回、AIモードが約693万回でした。
両システムで1位を獲得したのはYouTubeで、続いてWikipedia、note、Yahoo!ニュース、マイベストなどが上位にランクインしています。これらの共通ドメインは、コンテンツの網羅性、更新頻度とリアルタイム性、専門性と信頼性、ユーザー基盤の大きさ、日本語コンテンツの質といった特徴を持っています。
AI Overviews:専門性重視の「図書館モデル」
AI Overviewsは、医療・健康分野や教育・学習分野で圧倒的な優位性を示しています。医療機関公式サイトや専門的な医療情報プラットフォーム(Ubie、MSDマニュアル)でAIモードの2~4.6倍の引用回数を記録しました。
また、英会話や資格学習などの学習コンテンツサイトで2~3.7倍、AppleやMicrosoftの公式サポートサイトで3.4~4.0倍の優位性を見せており、権威性のあるソースへの依存と構造化された正確な情報を提示する「図書館」的な役割を担っていることが分かります。
AIモード:多様性重視の「コンシェルジュモデル」
一方、AIモードはソーシャルメディア、ユーザー生成コンテンツ(UGC)、Eコマース・商品情報分野で優位性を発揮しています。
Instagram、X(Twitter)、FacebookなどのSNS引用がAI Overviewsの2.4~3.6倍に急増し、クックパッド(12.8倍)、食べログ(3.2倍)などの実体験ベースの口コミサイトを大量引用しています。また、Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングの引用がAI Overviewsの2.7~5.3倍優位となっており、多様な情報の提示とユーザーに選択を委ねる「コンシェルジュ」的な役割を担っています。
設計思想の違いが明確に
Ahrefsは今回の調査結果について、「相関係数0.65という結果は、両システムが共通の基盤を持ちながらも、明確に異なる目的に最適化されていることを示している」とコメントしています。
AI Overviewsは医療や教育などYMYL(Your Money or Your Life)分野で専門性を重視し、AIモードはSNSやECなどリアルタイム性と多様性を重視する傾向が顕著に現れており、AI検索時代における情報提供スタイルの多様化を象徴する結果となりました。




