帝国データバンクは、2025年の食品値上げ動向について分析を行いました。その結果、主要な食品メーカー195社における2025年の飲食料品値上げは3933品目に上ると予測されています。これは2023年同時期に公表していた2024年の値上げ品目見通し(1596品目)を大幅に上回る数字です。
2025年1月には、1年半ぶりとなるパン製品の一斉値上げに伴い、単月としては3ヶ月ぶりに1000品目超の値上げが見込まれています。さらに、2月と4月にもすでに900品目超の値上げが予定されており、来春にかけて断続的な値上げラッシュが再燃する見通しです。

値上げ要因を見ると、2024年に続いて「原材料高」が94.6%とモノ由来の要因が多数を占める一方で、サービス面のコスト上昇を要因とした値上げ傾向も顕著に見られました。
特に、トラックドライバーの時間外労働規制などが要因となった輸送コストの上昇分を価格へ転嫁する「物流費」由来の値上げは89.9%を占めています。「人件費」が要因の値上げはは47.9%と2024年通年の26.5%と比べ大幅に高く、最低賃金引き上げなどの影響を受けた賃上げを要因とする姿勢も目立ちました。

2024年12月の値上げは、パックごはんやレトルトパウチ食品など計109品目となり、年内で最も少ない水準でした。2024年通年の値上げ品目数は累計で1万2520品目となり、年間の平均値上げ率は17%となっています。10月は年内最大となる約2900品目の値上げが実施されましたが、年間を通じて値上げは抑制状態が続き、前年比6割減の水準となりました。
食品分野別の2025年4月までの値上げ見通しとして、「パン」(1227品目)が、年間を通じて断続的な値上げが発生した2022年(1494品目)・2023年(1663品目)と同水準で推移すると予想されます。「酒類・飲料」(1251品目)は、特に4月に缶ビールやチューハイなどアルコール飲料の一斉値上げが実施される見込みです。「加工食品」(1040品目)は冷凍食品や餅製品などの値上げ予定があり、2024年内に急騰したコメ価格の上昇を価格に反映する製品も目立ちました。

包装資材や物流費の上昇に加え、人手不足に伴う賃上げなどにより、人件費も当面は上昇基調で推移する見込みです。コストプッシュ圧力は継続する可能性が高く、製品価格の引き下げや価格据え置きを維持可能な好材料は、2024年以上に乏しくなると見られます。こうした状況から、TDBは、2025年は原材料高以外の要因による粘着質な値上げが継続し、品目数は2024年を上回って推移する可能性があるという見方を示しています。