音声対話AIプラットフォームを開発・提供する株式会社Verbex(東京都港区)は、国内EC・通販領域における音声AI市場の独自試算を発表しました。経済産業省の調査によると、2024年の国内BtoC-EC市場規模は26.1兆円に達し、前年比5.1%の拡大が続いています。一方でテレビ通販やカタログ通販、定期購入型サービス、シニア層向け商材などでは、今も電話による注文受付や問い合わせ対応が重要な顧客接点として残っているといいます。
同社は、EC・通販に付随する受注・カスタマーサポート市場を約3,000億円、そのうち電話注文や問い合わせなど音声対応領域を約1,500億円と推計しました。さらに2030年には同領域の17%で音声AI活用が進み、EC・通販領域における音声AI活用の市場規模は約191億円まで拡大すると予測しています。
3段階で広がる音声AI活用
Verbexは、EC・通販の電話窓口における音声AI導入は一度にすべてが置き換わるものではなく、3つの段階を経て普及すると分析しています。まず定型的な一次受付やFAQ対応から導入が始まり、氏名や配送状況、支払い方法などの聞き取りを担うことで、電話がつながらないことによる機会損失の抑制やオペレーターの負荷軽減につながるとしています。
次の段階では、番組内で紹介する商品が限定されるテレビ通販や、セット内容・数量・配送条件が整理された注文、既存顧客の再注文などへ対象が広がります。顧客情報や注文履歴と連携することで、確認項目を減らしスムーズな受注体験を提供できる可能性があるとのことです。
最終段階として想定されるのが、AIと人が役割を分担するハイブリッド運用です。定期購入条件の変更やまとめ買い割引、解約条件、クレーム対応、高額商材の最終判断などは引き続き人が担う一方、定型業務はAIに任せることで、受注機会を逃さず顧客体験の質を高める狙いがあります。
ピーク時の入電集中や営業時間外の取りこぼしに対応
放送直後やキャンペーン時には短時間に入電が集中し、電話がつながりにくくなるケースがあります。また営業時間外の問い合わせに対応できず、受注機会を逃してしまうことも少なくありません。音声AIが一次受付を担うことで、こうした待ち時間や時間外対応の取りこぼしを減らせる可能性があるといいます。今後は注文完結率に加え、ピーク時の受電率や放棄呼の削減数、折り返し受付件数、注文情報の取得率なども、音声AI活用における重要な指標になっていくと見込まれます。
同社代表取締役CEOの森下将憲氏は、電話は今も安心して購買を進めるための重要な導線であるとした上で、音声AIの価値は人を単純に置き換えることではなく、AIに向いた業務を担わせることで人が判断や提案、感情対応が必要な業務に集中できるようになる点にあるとコメントしています。同社は今後もEC・通販をはじめとする企業の音声接点において、顧客体験と業務効率の両立を支援するとしています。

