世界の小売店舗スタッフの約2割がテクノロジーの限界がCXを妨げていると認識…スキャンディット調査

・店舗スタッフの76%が手作業削減のためのデバイス活用を評価
・68%が顧客を待たせる問題、48%が質問への効果的な回答困難を指摘
・スキャン機能の向上が最優先、50%が厳しい条件下でのスキャン機能を要望

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世界の小売店舗スタッフの約2割がテクノロジーの限界がCXを妨げていると認識…スキャンディット調査

スキャンディット合同会社は、「小売の現場の現状:テクノロジー面での課題とメリット」と題するレポートの後編を公開しました。本レポートは、世界7カ国の小売店舗スタッフ2,000人を対象に実施した調査結果をまとめたものです。日本からの回答者は300人でした。

調査結果によると、店舗スタッフはAIなどの最新テクノロジーよりも、実用的なツールを重視していることが明らかになりました。IDスキャン(51%)やマルチバーコードスキャン(48%)といったソリューションは、AI(35%)よりも求められています。

スキャンデバイスに関する問題点として挙げられた上位2項目は、「一度に 1 つのバーコードしかスキャンできない」と「スキャン性能の低さ」でいずれも約4割でした。スキャン機能に関しては、回答者のおよそ半数が厳しい条件下でのスキャンと高速化を求めています。テクノロジーが効率化に役立つと考えられている領域は、棚管理(84%)、顧客サービス(83%)、オンライン注文のオーダーピッキング(81%)でした。

現在のテクノロジーの限界が顧客体験(CX)の向上を妨げている実態も明らかになりました。デバイスが顧客体験に与える影響について聞くと、17%が「顧客体験には影響を与えていない」と回答し、22%は「実際にはより良いサービス提供を妨げている」と答えており、改善の余地があります。61%は「より良い体験の助けになる」と認識していました。

具体的な問題として、68%のスタッフが「情報確認のために顧客を待たせなければならない」と指摘し、48%が「顧客の質問に効果的に答えられない」と回答しています。また、35%が「関連性の高い最新情報に簡単にアクセスできない」と述べており、有用なデータへのアクセスが課題となっています。店舗スタッフの76%は、「手作業を減らし顧客対応に充てる時間を増やす」ために、デバイスが一定の役割を果たしていると認めています。

スキャンディットCTO兼共同創業者のChristian Floerkemeier氏は、「本調査は、小売業者が現場で働くスタッフを支援し、ひいては顧客体験を向上させるソリューションの戦略的な導入に向けて、従業員の具体的なテクノロジーニーズを深く理解する上で役立つでしょう」とコメントしています。

今回の調査結果は、小売業界におけるテクノロジー導入の課題と可能性を浮き彫りにしています。店舗スタッフの生産性向上と顧客体験の改善を両立させるためには、現場のニーズに即した実用的なテクノロジーソリューションの開発と導入が不可欠であることが示唆されています。

小売業界は今後、これらの課題に対応しつつ、優先度の高いテクノロジーを導入した上で効果的に活用して顧客サービスの質を高め、競争力を強化していくことが求められるでしょう。スキャンディットのような企業が提供するソリューションは、こうした業界のニーズに応える役割を果たすことが期待されます。本レポートの詳細な結果は、公式サイトで公開されています。

《Commerce Innovation編集部》