公益財団法人流通経済研究所が食品ロス削減に向けた取り組みについて調査を実施し、結果を公開しました。今回の調査では、食品流通業界全体で納品期限の緩和や賞味期限表示の大括り化、食品寄贈など、商慣習を見直す事業者が大幅に増加したことが明らかになっています。
納品期限を緩和する小売事業者(予定含む)は2023年より42社増加し、339社に到達。2020年の142社から、毎年増加しています。また、賞味期限表示を大括り化した食品メーカーは350社で、2023年と比べ32社増加。賞味期限を延長したメーカーは同年比90社増の359社となり、国の推奨に従って安全係数を0.8以上で設定するメーカーは84社増の469社となっています。

さらに、フードバンクへの食品寄贈を実施する企業が大幅に増加しました。食品メーカーでは2023年比76社増の316社、小売事業者では77社増の242社が食品寄贈を実施。ほかに、販売期限の延長や物流改善に取り組む事業者も増えています。
流通経済研究所は、食品メーカーや小売事業者などと協力し、2012年からサプライチェーン上の商慣習の見直しに取り組んできました。今後は、消費者への情報発信を強化し、食品ロス削減に積極的に取り組む事業者の商品や店舗の利用を推進していくとしています。業界全体としても、さらなる取り組みの拡大を促す方針です。
今回の調査結果は、食品ロス削減に対する業界全体の意識の高まりと具体的な行動の広がりを示しています。納品期限の緩和や賞味期限表示の見直しなど、それまで当たり前とされてきた商慣習を多くの企業が変更することで、食品ロスの削減効果が期待できます。
一方で、こうした取り組みについて消費者の理解を得て、購買行動につなげていく方法が今後の課題となります。流通経済研究所が掲げる消費者への情報発信強化は、この課題解決に向けて大きな意味を持つでしょう。
食品ロス削減は、環境保護や資源の有効活用の観点でも、世界的に重要な課題となっています。日本の食品流通業界がこの問題に積極的に取り組み、成果を上げていることは、国際的にも評価される可能性があるでしょう。調査結果を踏まえ、さらに多くの事業者が食品ロス削減に向けた取り組みに参加し、国内の業界全体で新たな商慣習として定着していく流れとなりそうです。