軽貨物運送業界の倒産すでに35件、宅配クライシスが現実化か…TDB「軽貨物運送」倒産動向2023年10月報

帝国データバンク(TDB)は、「軽貨物運送業界」の倒産発生状況について調査・分析を行った結果を発表しました。

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軽貨物運送業界の倒産すでに35件、宅配クライシスが現実化か…TDB「軽貨物運送」倒産動向2023年10月報
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帝国データバンク(TDB)は、「軽貨物運送業界」の倒産発生状況について調査・分析を行った結果を発表しました。

今回の調査によると、ラストワンマイル物流を担う、軽貨物運送業界の倒産が急増していることが判明。2023年1月から10月までの倒産件数は35件と前年通年の件数(22件)をすでに大きく上回る値で、過去最多を更新しました。業界にはフリーランスの委託ドライバーや小規模零細企業が多いため、倒産だけでなく廃業なども含めると、把握できた数値以上の業者が淘汰されている可能性があります。

コロナ禍にネット通販の需要が高まった「宅配特需」によって、軽貨物運送への参入が相次ぎました。一方で、ドライバーの残業増に対応した人件費や、高騰する燃料価格などのコスト負担が増加しています。荷物1個あたりの運賃単価の引き上げ交渉は厳しく、コスト増に見合う十分な運賃収入が得られないことから、2022年度は軽貨物運送の23.9%が赤字化し、減益を含めた「業績悪化」は半数超にのぼりました。

2024年以降は時間外労働の上限制限によりマンパワー不足が表面化すると予想され、参入事業者の増加による低価格競争の激化、インボイス制度導入によるコスト増など課題が山積しています。TDBは、負担に耐え切れずに事業継続を断念する中小の軽貨物運送業者が今後も増加していけば、質の高い宅配網が維持できなくなる「宅配クライシス」が現実となる可能性もあると指摘しています。

《Commerce Innovation編集部》