家計の食費、1世帯「月3700円」節約 消費行動に値上げ疲れの兆候

帝国データバンクは、食品値上げが家庭に与える影響と今後について、調査および分析した結果を発表しました。

市場 消費動向
家計の食費、1世帯「月3700円」節約 消費行動に値上げ疲れの兆候
  • 家計の食費、1世帯「月3700円」節約 消費行動に値上げ疲れの兆候
  • 家計の食費、1世帯「月3700円」節約 消費行動に値上げ疲れの兆候
  • 家計の食費、1世帯「月3700円」節約 消費行動に値上げ疲れの兆候
  • 家計の食費、1世帯「月3700円」節約 消費行動に値上げ疲れの兆候

帝国データバンクは、食品値上げが家庭に与える影響と今後について、調査および分析した結果を発表しました。今回の調査では、「値上げ疲れ」の兆候が明らかになっています。

家計における食費の節約は1世帯で「月3700円」の試算

同社が4月から9月にかけてまとめた「食品主要195社」価格改定動向調査や、総務省の「家計調査 二人以上の世帯」データをもとに家計への影響を試算しました。食品値上げによる家計への負担増加は顕著で、節約対策をしない場合、1世帯あたりの食費負担額は1ヶ月あたり前年比で最大で1割増の4058円、年間で約4万8000円増加する試算となります。

しかし、実際の支出データでは、7月までの平均で月373円・約1%の増加にとどまりました。これは、本来見込まれた増加額に比べ、約3700円分の食費支出が家計で「節約」により圧縮された可能性を示しています。

PB製品への移行など「値上げ疲れ」「買い控え」の傾向

食品分野別に節約された家計負担額をみると、最も金額が大きいのは「加工食品」で、値上げから想定された増加額よりも月あたり1293円の節約試算となりました。また、「菓子」は782円、「酒類・飲料」は697円それぞれ節約されている試算となります。

「コーヒー」や「緑茶」など常飲する製品の値上げも多数ありました。それでも、ディスカウントストアでの購入など定価販売を回避する動きや、プライベートブランド製品への移行に代表される「値上げ疲れ」「買い控え」の消費行動がみられ、結果として想定より支出が抑制されたものと考えられます。

一方、「パン製品」では、月190円の節約にとどまりました。「食用油」は80円、小麦粉など「原材料」は26円が、それぞれ試算より節約された金額です。調理に不可欠な食品では、値上げの受け入れを迫られたことがうかがえます。

一部食品は値下げするも、重い家計負担は続く見通し

今後の見通しとしては、10月をピークに、11月以降は比較的値上げは落ち着いた情勢が続くと予想されています。しかし、これまでに値上げされた食品類が今後店頭価格に反映されるケースもあり、家計の食費負担は今後も高止まりが続くとの見方が有力です。賃金上昇が値上げに追い付いていない上に、新年以降も円安水準の長期化で値上げが再加速する懸念も出ており、値上げを受け入れながらも食費を「切り詰めざるを得ない」局面は続くとみられます。

《Commerce Innovation編集部》