
WPPの一員であるVMLは、世界17カ国・28,000人の消費者を対象としたグローバル調査「Future Shopper Report 2026」を発表しました。今年で10年目を迎える調査で、今回は日本が初めて対象国に加わっています。企業のAI導入が急ぐ一方で、消費者の意識や行動との間に乖離があることが示されました。
AIに慎重な消費者像が浮き彫りに
グローバル調査では、82%の消費者がAIの利用経験を持つものの、主な用途は日常的なタスクにとどまり、AIによる自動購入には至っていません。58%はAIが提示する製品推奨を信用せず、購入前に別の情報源で裏取りしています。
AI生成の製品画像がブランドへの信頼を下げると答えた人は49%、AI作成と思われるコンテンツをスキップする人は48%でした。また53%がAIのショッピングツールへの商業的な影響を懸念し、33%はAIによる買い物代行を許可しないと回答しています。
レポートの5つの主な発見
経済的プレッシャーによる購買行動の見直し:約6割が経済的不安を強め、衣類・コーヒー・美容など「欠かせない贅沢品」は維持する傾向
検索は依然として不可欠:44%が検索品質の低下を感じる一方、検索は商品探しの最大の情報源に
個人情報の価値の見直し:10人中4人が位置情報や買い物習慣などを月々の収入と交換してもよいと回答
完璧な顧客体験が差別化要因に:消費支出の51%がオンラインで、48%は基本的なニーズを満たせないブランドでは買い物をしない
インフルエンスは転換点に:従来のインフルエンサーの影響力は15%から13%に低下し、AIツールが新たな情報源として浮上
VMLのグローバル最高戦略責任者であるニール・ドーソン氏は、次のコマースの時代における勝者は最高のテクノロジーやデータを持つブランドではなく、消費者の信頼を獲得し維持できるブランドだと述べています。
日本市場はAIへの警戒感が高水準
日本のデータは、グローバル平均と比べて慎重な姿勢が目立ちます。AI生成画像でブランドへの信頼が下がるとの回答はグローバルの49%に対して日本は59.7%、AIコンテンツを避ける割合は48%に対して57.8%、AIへの購買代行拒否は33%に対して44.8%でした。
EC体験への目線も厳しく、使い勝手の悪いEC体験による購入離脱率はグローバルの41%に対して日本は56.6%です。収入と引き換えの個人情報提供を容認する割合も、グローバルの40%に対し日本は18.2%にとどまりました。
節約志向の中で優先される贅沢品にも違いがあり、日本では本・書籍・電子書籍、ゲーム・エンタメ、外食・カフェ体験が上位に挙がっています。
日本の勝ち筋は「2つの体験軸」
VML & Ogilvy Japanのイーウェン・リー氏は、日本市場の勝ち筋を「Two Speeds(2つの体験軸)」と説明しています。日常の雑務は徹底してフリクションレスにし、それ以外の体験を通るだけで歓びを感じられるものに高めるという考え方です。AIが機能的な領域を担うほど、ブランドの差別化は思いがけない発見や店舗・空間の魅力といった人間的な側面に移るとしています。
同社の大北ひろ子氏は、日本の消費者は単に安さを求めるのではなく価値ある体験を厳選していると指摘し、企業には自社の価値が「削られない選択肢」になっているかを問い直す必要があると述べています。グローバルレポートはVMLのサイトからダウンロードできます。

