帝国データバンクは、2025年4月以降における食品の値上げ動向と展望・見通しについて分析した結果を公開しました。
分析結果によると、2025年4月の飲食料品値上げは合計4225品目となり、1回当たりの平均値上げ率は16%に達しました。前年同月比で1328品目・45.8%の増加となり、単月の値上げ品目数は1月以降4ヶ月連続で2024年を上回っています。値上げのピークを迎えた2023年10月以来、1年半ぶりに単月で4000品目を超える大規模な値上げラッシュが発生する見通しです。
食品分野別では、調理用みそ製品を中心とした「調味料」が2034品目で、最多となりました。「酒類・飲料」は1222品目となり、缶ビールや缶チューハイなどの酒類で一斉に価格が引き上げられるほか、コーヒー飲料でも値上げが行われます。「加工食品」は659品目で、ハム・ソーセージ製品や冷凍食品などが多くを占めました。

2025年通年の値上げは、9月までの公表分で累計1万7707品目に上り、すでに前年実績1万2520品目に対して9割超の水準です。値上げの勢いは、2024年より大幅に強まっています。1回当たり平均値上げ率は通年で15%となり、前年の17%に比べ低下傾向で推移しています。
値上げ要因では、原材料などモノ由来の値上げが多くを占める一方で、人件費や物流費などサービス価格上昇の影響を受けたものも拡大しています。「原材料高」が97.8%と最も高い水準となり、「物流費」由来の値上げは81.8%、「人件費」由来の値上げは45.1%を占めました。
帝国データバンクは、全体的に値上げの動きが低位に抑えられた前年に比べ、2025年は少なくとも夏にかけて断続的な値上げラッシュが発生するとの予想を示しています。値上げ品目数は、2025年4月に予定ベースで前年実績を上回るとみられ、年間累計では最大で年2万品目前後に到達すると見込まれています。
食品業界では、原材料費の高騰に加え、人手不足による人件費上昇や物流コストの増加が重なり、値上げ圧力が継続しています。消費者にとっては家計への影響が懸念され、企業側も収益確保のためのバランス調整に苦慮する状況が続きそうです。