小林製薬の紅麹、3万社以上で流通・販売の可能性…TDB推計

・紅麹製品、最大3.3万社に流通の可能性
・一次加工で最多は「製造業」2423社
・製品流通の範囲特定が困難、混乱長期化の懸念

企業 経営戦略
小林製薬の紅麹、3万社以上で流通・販売の可能性…TDB推計
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小林製薬から原料として紅麹を仕入れた企業や販売した企業が、製品回収など対応に追われています。帝国データバンク(TDB)は、2024年3月28日に厚生労働省が公表した、小林製薬が直接紅麹原料を卸した52事業者および同社製の紅麹原料を入手していた173事業者の計225事業者(企業、重複等含む)から仕入などを行った国内企業について、二次販売先までを対象として調査を実施しました。

調査結果によると、小林製薬から直接紅麹原料を仕入れた225事業者と直接商品の仕入・販売等の取引関係にある「一次販売企業」は873社、原料等としての取引関係を有し、流通や加工を行う「中間流通・製造企業」は3878社に上ります。

さらに、一次加工企業から商品を仕入れ、販売した「二次仕入・販売企業」は2万8775社、直接あるいは間接的に紅麹製品を消費者へ販売・提供している可能性のある取引企業は2万9648社に上ることが明らかになりました。製造・販売を含めた企業の合計は3万3526社となり、国内3.3万社以上で、紅麹原料を使用した製品が流通している可能性があると推定されています。

業種別の流通状況

一次加工企業のうち、「製造業」が2423社と最も多く、特に「飲食料品製造業」が1778社を占めています。そのうち納豆や調理パン、弁当などの「その他食料品製造業」267社が最多で、水産関連業種も多数見られました。塩辛や佃煮など「その他水産食料品製造業」が190社、かまぼこなどの「水産練り製品製造」が175社となっています。「生菓子製造」128社のほか、「醤油・アミノ酸製造」79社や「野菜漬物製造」71社など発酵食品関連も目立ちます。

二次仕入・販売企業では、食品スーパーなどの「飲食料品小売」が5582社、「飲食店」が3115社、「飲食料品製造」1778社となっています。食料品関連のほか、医薬品や化粧品などの販売「その他小売業」5171社、病院などの「医療業」が3884社と、関係企業は多くの業種にわたっていました。

販売企業での混乱は継続か

紅麹は、発酵食品としての原材料以外にも着色料として使用される物質です。TDBは、紅麹の2次加工や3次加工では使用有無の確認に時間を要し、加工食品などの最終製品を含めると流通先の特定が難航するという懸念を示しています。健康被害を生じさせた原因物質を特定するための調査時間が必要と見られ、販売企業での混乱は長期化する可能性が高いと想定されています。

厚生労働省の発表

厚生労働省が2024年3月28日に開いた調査会では、健康被害の訴えがあったサプリメント製品のロットで、プベルル酸という青カビから発生することがある物質の存在が確認されたことが報告されました。ただし、健康被害を引き起こした原因物質が、プベルル酸かその他の物質なのかは、まだ明らかになっていません。今後、プベルル酸の毒性について調査し、他の物質が含まれていないかなど原因物質の特定を進めていく方針です。

また、3月29日に厚生労働省は、直接原料の供給を受けている52社において、「小林製薬の3製品に使用された紅麹と同じ小林製薬社製の原材料を用いて製造され、かつ、上記と同等量以上の紅麹を1日あたりに摂取する製品」「過去3年間で医師からの当該製品による健康被害が1件以上報告された製品」に該当する製品がないことを公表しました。

厚生労働省と消費者庁が、紅麹を使用した製品に関する健康被害について、国民および事業者からの問い合わせ窓口を設置しました。

  • 電話番号:03-3595-2760

  • 時間:午前9時~午後9時 (土日祝日も対応)

消費者の健康と安全を守るため、関連企業は迅速な対応が求められています。

《Commerce Innovation編集部》