物流・在庫管理

2016/10/04

路線バスが宅急便を輸送する「客貨混載」を熊本県で開始

路線バスが宅急便を輸送する「客貨混載」を熊本県で開始

 九州産業交通ホールディングス傘下の産交バス株式会社とヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸株式会社は、過疎化や高齢化が進む中山間地域におけるバス路線網の維持と物流の効率化による地域住民の生活サービス向上を目的として、熊本県の県南に位置する人吉市-五木村を結ぶ路線バスで「客貨混載(きゃくかこんさい)」を開始した。

 近年、全国の中山間地域等で過疎化や高齢化が進む中、熊本県の南部に位置し、山林に囲まれる五木村と相良村は、年々人口が減少し、高齢化率も約40%になるなど、県内でも特に過疎化や高齢化が進んでいる。両地域では、高齢者の移動手段となるバス路線網の維持と物流の効率化による地域住民への生活サービス向上が課題となっていた。

 産交バスは、熊本県のほぼ全域をカバーするバス路線網を保持し、年間約1,650万人を運ぶ県内最大手のバス会社として、県や自治体と緊密に連携を図りながら、効率的で持続可能な公共交通ネットワークの構築に向けて取り組んでいる。

 ヤマト運輸は、全国の自治体や企業と連携し、地域の活性化や課題解決に向けてさまざまな取り組みを行う「プロジェクトG(Government)」を推進しており、路線バスによる「客貨混載」は岩手県、宮崎県、北海道の3都道府県で開始している。

 これらのこともあり、産交バスとヤマト運輸は相互連携を図り、バス路線網の維持と物流の効率化による地域住民の生活サービス向上を目的に路線バスで宅急便を輸送する「客貨混載」を開始するに至った。

取り組みの内容

 宅急便を積載するため、中央部に荷台スペースを確保した路線バスを計2台導入し、また、客貨混載専用のバスと分るように「くらし ハコぶ バス」と銘打ったラッピングを施した。

 経路は人吉市-五木村を結ぶ路線バスで宅急便を輸送する。集荷については、客貨混載は1日2便の運行で、五木村発・人吉市行きの路線バスで、ヤマト運輸のセールスドライバーが五木村と相良村で集荷した宅急便を相良村のバス停(林業総合センター前)で人吉市行きの路線バスに積み込む。産交バスの人吉営業所で産交バスのドライバーからセールスドライバーに宅急便を引き渡すという流れだ。
 また配達については、客貨混載は1日1便の運行で、人吉市発・五木村行きの路線バスで、ヤマト運輸のセールスドライバーが五木村と相良村の顧客に配達する宅急便を産交バスの人吉営業所で五木村行きの路線バスに積み込む。相良村のバス停(相良村運動公園)でそれぞれの地域を担当するセールスドライバーに引き渡すという流れになっている。

「客貨混載」によるメリット

 地域住民は、地域のバス路線網が維持され、安定的に路線バスを利用できることで、病院やスーパーなど多様な施設へアクセスでき、生活基盤の維持・向上につながる。
 また、ヤマト運輸のセールスドライバーが五木村と相良村に滞在できる時間が増えるため、当日発送の集荷締め切り時間が15時から17時まで2時間延長されるなど、宅急便のサービスをより便利に利用できるようになる。

 産交バスは、路線バスの空きスペースで宅急便を輸送することで、バス路線網の維持につながる新たな収入源を確保することができる。ヤマト運輸についても、五木村と人吉市間のトラック走行距離が60km削減(3往復180kmから2往復120km)となり、CO2排出量の削減にもつながる。また、五木村と相良村を担当するセールスドライバーが地域に滞在する時間が増えるため、顧客からの要望に対して柔軟に対応することができる。

 客貨混載の導入により、地域住民の生活サービス向上を実現した。

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