越境EC

2016/01/04

立ち上げ3か月の越境ECが月商5千万を突破。

立ち上げ3か月の越境ECが月商5千万を突破。

楽ニュー株式会社 大内 一毅 氏

 越境ECが注目を集める中、急成長を遂げた「日本の商品を中国で販売するアプリ」があるのをご存じだろうか。失敗事例ばかりの越境ECビジネスを高確率で当てるにはどうすればよいのか。今回は、広告費をかけずローンチ3か月で5千万円の売上を達成した「momo」を運営する、ラクニュー株式会社大内一毅氏にインタビューを実施した。

好調な中国向け越境EC

ーなぜ中国向けのアプリを始めたのですか?

 事業立ち上げの際に、いろいろなアイデアが出た中で、やっぱりECがやりたいよねってなって、 アプリローンチ後、順調に3ヶ月で5千万の売上を上げたのですが、越境ECのスタートは半年で500万くらいいけば成功といわれていて異常な数字みたいです(笑)

—ビジネスのアイデアや嗅覚がすごいですよね

 やりたいと思えることを一丸となってやってるからでしょうか。システムも全て内製化していますし、やりたい人だけが集まっているからアイデアを生むのも推進するのも強いのかも知れません。

—売上アップの施策は何かありますか?

ついで買い作戦っていうのがあるんです。 配送に使っているEMSは重さで送料が決まります。ユーザーが決済に進む際に、送料据え置きで、ついでに買える重さの商品を表示させました。どんどんついで買いが起こり、大当たりでしたね。

 また、問屋との良好な関係が築けていることも強みです。サービス開始当初は、中国向けの販売というと不安がられ、なかなか商品開拓が進まなかった。ひたすら電話し、地方まで訪問し、アナログな交渉を続けました。結果として現在は、他社では不可能な数量の仕入れをメール一本で行える信頼関係ができたと思います。

 今は、売れ筋の商品が定まって来たので、上位50位までの商品は自社で問屋から仕入れています。その方が利益率が高まるので。Amazonの圧倒的なラインナップを使い、小桃で売れる商品数を増やしていき、ユーザーを増やす。そしてその後、自社仕入れの商品を増やして利益率を高めるというビジネスモデルです。

ストーリーで伝える商品の魅力

—今後の展開はどう考えていますか?

 今後は、オリジナル商品も作りたいと思っています。「50人買いたい人が集まったら商品化します」みたいに、クラウドファンディングのような形で商品化すると面白いかなと。我々は、ECだけでなくメディアとしての側面もあり、記事や動画も作れるので、商品のこだわりを発信していくこともできます。例えば職人のこだわりのメイドインジャパン商材も、背景のストーリーを伝えることで顧客まで届けていけるのではと思っています。他にもやりたいことはたくさんあるので仕掛けていきたいですね。

—メディアとしての側面があるのは強みですね

 はい、さらに今後はレビュー機能を強化していきたいと思っています。日本人のユーザーが使った感想を自社で集め、中国語に翻訳しています。上海の会社には3人ライターがいるので、自然な中国語で表現することも徹底しています。ECではなく、SNSサイトというイメージを付けたいと思っているんです。Amazonは買いたいものがあるときしか見ないけれど、Facebookなら毎日なんとなく見る。SNSであって、かつモノが買える場所、そういう存在になりたいんです。 レビューがつくとやはり売れます。実際使っている写真をアップするとさらに強いです。Amazonは、コメントのみのレビューなので、画像付きレビューは強みにしていきたいです。 2月に立ち上げたのですが、今購入のリピート率は49%程度です。消耗品が多いので、リピート率は非常に高いですね。

—その他に注力していくことはありますか?

 今後は地方の商材にも目を向けて行きたいです。中国というと、爆買いのイメージがありますが、東京、大阪、京都など、限られた都市でしか起こっていないんです。地方は爆買いの恩恵を受けていない。そして、こだわっていてモノはいいのに売り先に困っていたり、ウェブの知識がないのでECをしていない地方のメーカーは非常に多い。そこを当社でマッチングしたいと思っています。携帯で写真を撮ってもらうだけで商品を販売でき、当社の倉庫に送って貰えば個配もするよという箱を作れれば、もっと地方のメーカーに利益を還元できると思うんです。

 中国展開が仕組み化できれば、次はアジアを狙いたいと考えています。今の方法を英語で展開すれば、フィリピンやインドネシアでも通じると思うので。 アジア制覇を目指すというのは、昔は夢物語に聞こえたのですが、中国語と英語でサービスを展開できれば、今後は夢ではなくなります。

動画がきっかけで一気にアプリがDL

—アプリのDL数はどれくらいですか?

 ローンチ当初にアプリ紹介の動画をアップしたら、130万回近く再生され、アプリが一気にDLされました。現在は、プロモーションをほぼせず、5〜6000/月くらいですね。 今は中国のネット人口が4億人程度ですが、今後、内陸部にまで通信環境が整っていくと、ネット人口に比例してDL数はさらに伸びると思います。まだ4億人とはいえ、日本の総人口の3倍以上あるので、すごいポテンシャルですよね。

—動画起点で、アプリがDLされるというのは日本では聞いたことがないです。

 日本は商品紹介動画にチャレンジしても、コスト感が合わないので撤退する企業が多いですね。社内で動画を撮れる人がいないけれど、外注に出すと数万〜数十万かかってしまう。だから本当に売りたい注力商品のみに絞るなどまだ消極的です。その分、中国は逆に先に進んでいるのかも知れないですね。私が今、ガンガン動画を作れているのは、前職の経験が大きいです。iPhoneで撮って、編集なんて未経験なメンバーで試行錯誤しながら商品紹介動画を一日2本アップしていた。だから自前にこだわってます。できるはず、って思いが強い。 自社でコンテンツを作る方が面白いし、コンテンツマーケティングの醍醐味だと思っています。そこを外注しようとしている会社には負ける気がしませんね。

—たくさん見られるコンテンツの定義ってありますか?

 模索中ではありますが、中国では顕著に人ありきだと感じています。この人の動画だから再生される。この人の記事だから読む。この人のレビューだから信頼できる。まずは、「この人」を作り、「この人」のファンを作ることが重要なのかなと。

—最後に今後の展望を教えてください

 まずは月商一億を目指したいと思っています。 そのためにも、PDCAサイクルのPには時間をかけず、動画なり、レビューなりとにかくどんどんトライしていくことを大事にしています。そのあとDCAでしっかり考え、勝てる施策に変えて行けばいいかなと。 僕らは、ただの越境ECではなく、モノが買えるメディア、モノが買えるSNSという他にはない存在になっていきたですね。

author清水 正樹
オンラインセレクトショップ「スタイルストア」やギフト専門サイト「COOCMO」の事業責任者。1986年千葉県生まれ。大学在学中にWEB動画マーケティング事業で起業。その後、株式会社オールアバウトに入社、メディア運営・EC事業の立ち上げなどに携わり、現在は株式会社エンファクトリー副社長。兼業で合同会社flasco代表。
清水 正樹

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