2015/11/29

大手モールのスマホ経由の流通額が拡大。「ゾゾタウン」が62.3%、ヤフーは39.5%

 大手モールのスマホ経由の流通額が拡大。「ゾゾタウン」が62.3%、ヤフーは39.5%

 オンラインの視聴行動分析を手掛けるニールセンが、「『大手ECサイト』や『ファッションサイト』はスマートフォンからの利用時間がPCを上回る」というタイトルのリリースを今年8月に発表したこともあり、「近い将来スマートフォンがECのデバイスの中心になる」といった意見をこれまで以上に聞くようになりました。そこで、大手EC祭サイトやファッションサイトのスマートフォン経由の比率がどうなっているのか調べてみました。

スマホ経由の利用時間に関する調査結果(ニールセン)
スマホ経由の利用時間に関する調査結果(ニールセン)

「大手ECサイト」や「ファッションサイト」はスマートフォンからの利用時間がPCを上回る~ ニールセン、「Eコマース」の利用状況を発表 ~http://www.netratings.co.jp/news_release/2015/08/Newsrelease20150825.html

 ニールセンの調査はあくまでサイトの「利用時間」であり、コンバージョンレートや売り上げには言及していません。EC事業者の興味としてはスマホ経由の「売上比率」の方が気になると思いますので、大手モールの流通額に占めるスマホの比率を取り上げます。

 まずはファッションモール最大手の「ゾゾタウン」。15年7−9月期(第3四半期)の流通額のスマホ比率は62.3%でした。2年間でスマホ経由の流通額は16.4ポイントも上昇しています。2年前はパソコン経由の流通額が50%以上を占めていましたが、パソコンは現在は36.9%まで低下。フィーチャーフォン(いわゆるガラケー)にいたっては、わずか0.7%まで減少しています。

 「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイは、コーディネートアプリ「ウェア」をECサイトへの導線として活用するなどスマホ対応を強化してきました。「ウェア」経由でECサイトを訪れた消費者の注文額は、10月に月商10億円を超えるなど急速に拡大しており、「ゾゾタウン」のスマホ比率を押し上げる一因となっています。(トップ画像は「ゾゾタウン」のデバイス別流通額の推移。スタートトゥデイの決算説明会資料から引用)

ヤフーは前年同期比7.0ポイント増

 次にヤフーですが、「ヤフーショッピング」や「ヤフオク!」のほか、連結子会社の「ロハコ」など、ショッピング関連とオークション関連事業を合算した「eコマース国内流通総額」の15年7―9月期におけるスマホ経由の比率は39.5%でした。流通総額は3335億円でしたので、スマホ経由で約1317億円を売り上げた計算です。ヤフーのスマホ比率は「ゾゾタウン」に比べると低いものの、前年同期比で7.0ポイントも上昇しており、2〜3年以内にスマホ比率が50%を超える可能性は十分にあるでしょう。

楽天はモバイル比率が50%突破

 インターネットモール国内最大手の楽天市場はどうでしょうか。楽天は、楽天市場の流通額を公表しておらず、スマホ比率も開示していません。 ただ、フィーチャーフォンやタブレット端末などを含む「楽天市場のモバイル経由の流通額」は、15年7−9月期で51.3%となり、初めて50%を超えました。モバイル比率のデバイス別の内訳は不明ですが、同期間におけるスマホアプリ経由の流通額は前年同期比約1.8倍と大幅に増えており、モバイル売り上げの中心がスマホであることは間違いないと思います。

 大手モールの動向を見る限り、スマホサイトの売上比率が高まっているのは間違いないようです。ただ、だからと言って、「今後のECではパソコンよりスマホサイトへの対応が重要だ」と決め付けると、戦略を誤るのではないかと思います。当たり前ですが「スマホで売れやすい商品」と「パソコンの方が売れやすい商品」の違いはあります。筆者が取材をしている限りで言えば、例えばアパレル業界ではスマホ比率がぐんぐん伸びていますが、住宅設備やリフォームはパソコンサイトからの注文の方が圧倒的に多い。1着あたり数千円のTシャツはスマホでサクッと注文できた方が便利かもしれませんが、1件あたり10万円のキッチンリフォームを依頼する場合には、画面が大きく情報量も多いパソコンサイトでじっくり調べてから注文する消費者の方が多数派でしょう。また、一般的には所得が増えるほどパソコンの所有率も上がるでしょうから、贅沢品はパソコンで検索される可能性が高まります。

 デバイスごとにECサイトを構築・運用するにはコストやマンパワーが必要ですから、限られたリソースをどのデバイスのサイトに振り分けるのか、「スマホファースト」という言葉に惑うことなく、自社の商品やターゲット層に応じて検討していくことが必要でしょう。

 

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