2015/11/26

既存客の売上比率80%超。コメのECでリピーターを増やす「米のさくら屋」の戦略

既存客の売上比率80%超。コメのECでリピーターを増やす「米のさくら屋」の戦略

「ゆめぴりか専門店 米のさくら屋」を運営する米のさくら屋の藤川欽三社長

 北海道のブランド米「ゆめぴりか」をECサイトで販売している米のさくら屋(本社北海道、藤川鉄三社長)。契約農家から仕入れた味や安全性にこだわったコメのみを扱うことで顧客を増やしてきた。売り上げの8割以上を既存客が占めるなど、リピーターの獲得にも成功している。Eストアー主催の「ネットショップ大賞 グルメ部門」の大賞を受賞するなど、自社ECサイトの運営で高い成果を上げている同社の藤川社長に、商品力戦略やリピーター獲得の取り組みを聞いた。

北海道産のブランド米「ゆめぴりか」の専門店を運営している
北海道産のブランド米「ゆめぴりか」の専門店を運営している

運営しているECサイトについて教えてください。

 「米のさくら屋」の名称で自社ECサイトを運営しています。アマゾンとヤフーショッピングに出店していますが、売り上げの大半は自社ECサイトが占めています。

今期のEC事業の業績見通しは。

 15年11月期の売上高は前期比で横ばいの見通しです。今期は利益率の改善に取り組んでおり、その点では成果が上がりました。仕入れルートや物流体制を見直してコストを削減したほか、既存客の売り上げが増えたことで、新規顧客獲得コストを抑制することもできました。広告宣伝費は売り上げの1~2%に抑えています。CPAが上昇しているため、今後もリピーターの獲得に注力します。

既存客の売上比率を教えてください。

 今期は既存客の売り上げが全体の80%以上を占めています。リピーターの注文は月を追うごとに増えており、10月の注文件数のうち86.1%が既存客でした。既存客の約半数は定期購入の会員です。

リピーターを増やすために取り組んでいることはありますか。

 お客さまが継続購入してくださる一番の理由は、当店のコメが美味しいからだと思っています。一度食べて、美味しくなければ継続してもらえませんから。サンクスメールの代わりに手書きの手紙を送るなど、アナログの取り組みに力を入れていることも、リピーターが増えている一因かもしれません。産地の情報や、生産者のこだわりなどを伝えるためのダイレクトメールも定期的に送っています。お客様と信頼関係を築くための地道な取り組みです。当店はECサイトですが、お客様にとって近所の米屋のような存在でありたいと思っています。

社長自ら商品の魅力を発信

「ゆめぴりか」を販売しているECサイトは他にもあります。どのように差別化しているのですか。

 当店は、生産者に直接会い、味身をした上で、自信を持って販売できるコメだけを取り扱っています。そのことが一番の差別化戦略だと思います。その上で、コメの生産工程や、生産者のこだわりをECサイトで紹介しています。店長である私や、生産者がECサイトに登場し、商品の魅力や品質のよさを消費者に伝えています。

安売りやキャンペーンなどは実施していないのでしょうか。

 原則として安売りはしません。小売店が安売りをすれば、生産者にしわ寄せが行き、結果的に品質の低下を招くためです。あくまでコメの品質と顧客対応で勝負しています。

ECサイトの開設当初から、藤川社長がサイトに登場していたそうですね。

 ECで消費者から信頼されるには、店長自ら商品の魅力を発信していくことが大切だと思っています。ネットショップに限らず、商売においては最終的には”人”にお客さまが付くのではないでしょうか。生産者も含め、顔を見せることを意識してECサイトのコンテンツを作っています。

契約農家と信頼関係を築くため田植えを手伝うことも
契約農家と信頼関係を築くため田植えを手伝うことも

ECサイトのコンテンツ作りには農家の協力も欠かせません。

 そうですね。農家の方々とは時々一緒に食事をしたり、農家の繁忙期に私が田植えを手伝ったりして、信頼関係を築いています。農家と信頼関係を構築することは、高品質の「ゆめぴりか」を安定的に確保する上でも、とても重要です。時には当店のお客様の声を農家にフィードバックし、品質の改善に役立ててもらうこともあります。

ブログを通じて産地の情報や、店長としての日々の出来事なども発信しています。顧客に親しみを持ってもらう狙いがあるのでしょうか。

 ブログは、ほとんどアクセスはないですが(笑)見る人は見てくれるだろう、という思いで運営しています。

次期の取り組みの計画を教えてください。

 CRMのシステムを導入することを検討しています。これまではコメの美味しさや、手紙などアナログの取り組みでリピーターを増やしてきました。今後は、顧客をセグメントしてアプローチしたり、休眠客の掘り起こしに注力したりすることで、リピーターを増やしていきたいと思います。 

カテゴリーごとに学ぶ