オムニチャネル

2015/10/19

低予算でオムニチャネルに取り組む方法

低予算でオムニチャネルに取り組む方法

 3〜4年前からEC業界でバズワードになっている「オムニチャネル」。最近は、セブン&アイグループやイオングループ、ファーストリテイリングなど、大手小売りを中心に取り組みが活発化しています。一方で、オムニチャネルの必要性を感じながらも、実際には取り組めていない企業も少なくありません。特にEC専業の企業にとって、リアル店舗を出店したり、システム投資を行ったりするコストが負担になるため、売り上げや利益への効果が曖昧なオムニチャネルに二の足を踏んでいるようです。

 そもそも「オムニチャネル」の定義は曖昧な部分もありますが、さっくり言えば、「リアル店舗やECサイト、スマホアプリなどを駆使し、あらゆるチャネルで統合的に1人の顧客と接点を持ち、顧客がいつでもどこでもシームレスに買い物ができる環境を作ることで、顧客満足度を高めるマーケティング戦略」といったところでしょうか。

 それを実現するために、大手流通企業を中心に、システム開発や物流体制の整備、社内組織作り、リアル店舗とECサイトの顧客情報の統合などが進んでいます。例えば、セブン&アイホールディングスは先日、かねてから準備を進めてきたグループのオムニチャネル戦略を発表しました。セブン&アイグループの「セブンイレブン」「そごう」「イトーヨーカ堂」などの商品を揃えた通販サイト「セブンオムニ」を11月1日に立ち上げ、ネット通販で注文した商品を全国約1万8000店のコンビニの店頭で受け取れるようにします。開始時の品揃えは約180万品目、4年後までに600万品目を揃え、「オムニセブン」の年間売上高1兆円を目指すという壮大な構想を打ち上げました。

 こうした壮大なオムニチャネル戦略は、EC専業のネットショップが真似できるものではありません。真似する必要もないでしょう。とはいえ、EC専業の企業はオムニチャネルに取り組まなくてよいとは言えないと思います。ECサイトで販売している商品を購入前に体験できる店舗を作り、ネットでも店舗でも商品を買えるようにすることで、売り上げを増やしているネットショップが増えているためです。その際、店舗の出店費用や運営費用をいかに安く抑えられるかが、オムニチャネル成功の鍵になっています。

半年で200人来店、8割が顧客に

 低予算でオムニチャネルに取り組んでいる事例としては、ワイシャツ専門ECサイト「ozie(オジエ)」を運営している柳田織物(本社東京都)があります。

 同社は14年6月、試着のためのショールームを東京・六本木の本社に併設しました。事務所として借りている8階のフロアの一部を改装することで店舗開設の初期投資を抑制。事務職として働いている社員が接客を行うことでランニングコストも抑えています。原則として予約制のため、突然の来店に備えて接客担当者を常駐させる必要もありません。

 ショールームの来店者の大半は新規顧客で、開設後6カ月間の来店数で約200人に達したそうです。そして来店者の約8割は商品を購入しているとのこと。商品の質感やサイズを確認してから購入したいと考えている見込み客を効率的に顧客へと転換することに成功しています。

 店舗では無理に売り上げを追求せず、接客に主眼を置くことで、ECの売り上げにつなげています。わざわざ来店する消費者は購入意欲が高いため、きちんと接客すれば購入に至る確率が高く、店舗運営コストや接客のコストをECの売り上げで回収できるというわけです。

 柳田織物の他にも、DIYツールを販売している某ネットショップが、取扱商品のメーカーに出店費用を負担してもらうことで、リアル店舗をオープンしてECサイトの売り上げを伸ばしている事例もあります。EC専業の企業でも、工夫次第でオムニチャネルを実現する方法はあるはずです。

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